携帯電話による徘徊高齢者実証実験
日時 平成24年10月1日から10月31日
場所 甲府市内
目的 携帯電話を使って、徘徊癖のある高齢者を対象として、徘徊時の捜索の効率化を行い、家族の負担を軽減しようとするものです。
(1)実証実験の目的 徘徊癖のある高齢者がいる世帯向けに携帯電話を貸与し、徘徊時の位置検索 によって早期発見を目指すための携帯電話の導入費用・維持費用・可能性と 制約を検討します
(2)実証実験概要 (2)-1 日常の携帯性と早期発見性評価 実際の高齢者の方に携帯電話をお渡しし、実際のボランティア員に見守 り訪問の協力をお願いし、実験用フローに従い実験を実施します。実験 終了後、ボランティア員によりチェックシートの検証結果記入欄に評価 を記入します。
(2)-2 捜索の効率性評価 ボランティア員の方に徘徊高齢者役を行なってもらい、もう一人のボラ ンティア員が実際に見守りセンターからの情報をたよりに捜索し、合流 する実験を実施します。実験終了後、ボランティア員によりチェックシ ートの検証結果記入欄に評価を記入します。
3.実証実験結果 あらかじめ作成したチェックシートについて、実際に見守りを担当していた だいたボランティア員に「とても思う」「そう思う」「どちらともいえない」 「そう思わない」「まったく思わない」の5段階評価を行なっていただいた。
※実験に参加したボランティアさんの声
・朝から携帯を家に置いたまま昼間まで徘徊した。
・携帯を充電して持ち歩くのは難しく、また機能を理解できない。
・携帯は持たずに出かけようとする。「出かけるときにはこれをカバンに 入れて出かけてくださいね」と声掛けしてから携帯を手渡している。
・毎日、ご本人が必ず持ち歩く袋に誰かが携帯を入れることで、持ち歩 くことは可能だと思う。
・訪問の際、鞄の中にも充電器のところにも携帯がなく、本人に聞いて も「わからない」とのことで、探すと枕元にあった。本人曰く「大切 な物だから枕元に置いた」とのこと。常に持ち歩いてもらうためには 訪問で様子を見に行くということが欠かせないと思う。
・本日の訪問では、携帯は充電器のところにあった。ご本人に確認した ところ「普段出かける際は携帯を持って行く」とのこと。自分で充電 しているかは分からないが、「持って行く」意識はありそう。
・枕元に携帯とバックがあったので持ち歩いている可能性がある。
・携帯はいつも持ち歩くバッグに入っていたが、入れたのは息子さんで 何も言わなければ本人はバッグから出してしまう。
・携帯はいつもの場所に置いてあり充電されていた。家族やサポーター がバッグに入れるなどして配慮することが必要と思われた。
・充電器に置かれた携帯を確認したので、巾着袋に入れてもらおうと声 を掛けたが巾着袋が見つからず断念した。
・本人の部屋にある巾着袋に携帯は入っていた。
・ご本人で充電して、持ち歩き、充電するのは難しいと思う。 ・声をかければカバンから携帯を出し充電できた。
・枕元に携帯があり、電池容量はあったが一応充電した。
・ヘルパーさんに充電をお願いすることも可能ではないかと思う。
・訪問を頻繁に行う(2 日に一回ほど)のであれば電池は持続的に持つと 思う。
・息子さんと一緒の時は充電できていた。本人は携帯が何のためにある のか理解できていなかった。
4.まとめ この実証実験を通じて、
① 徊高齢者の捜索時間は短縮され、本人の身の危険やご家族の負担は明らかに軽 減すると考えられる。
② スマートホンで地図情報を受け取ることで捜索時間をより短縮できるものと考 えられる。 などのメリットがある反面、同居ご家族のフォローが必要で、徘徊高齢者には、常 日頃、携帯電話を身に付けてもらう必要があります。また、徘徊高齢者の代わりに 携帯電話の充電をする必要があります。 実験結果をうけて 携帯電話を利用した徘徊見守りシステムは、解決すべき課題がありますが、 これからの高齢化社会にはなくてはならないシステムであると考えています。